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あんなぷるな道中膝栗毛
20.ミスターダルバート
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トゥクチェには、マカル君の案内で午後少し早目に着いたのだが、 強風と雪なので泊まる事にする。 宿泊客は、我々だけかと思ったが、もう一月も滞在していると言う、 ウケないブラックジョークを連発するドイツ人と、喋べり出したら 止まらないスウェーデン人、夕刻には韓国人のアベックと、 結構賑やかだ。 最後に登場したのは、アンナプルナ外周を回り、これからポカラへ 向かうと言う日本の青年だった。 彼はチベットから峠を越えて、ネパールに入ったと言う。 長旅をしているせいか、逞しいイイ顔をしていた。 夕食の時、彼の旺盛な食欲に、唯々驚いてしまった。 前にも書いたと思うが、ネパールの定食ダル(豆)とバート (御飯)、豆のスープと御飯それにタルカリと呼ばれるカレー風味 のおかずと漬物がつく“タルカリダルバート”を彼は注文した。 お変わり自由とは言うが、この日本の若者は、三人前をペロリと 食べてしまった。 四杯目は半分と注文したが、言葉が通じなかったのか、しっかり 一人前来てしまい、半分残してしまい文句を言われていたが、 後にも先にもダルバートを、こんなに食べた人を、見た事が無い。 一人前と言っても凄い御飯の量なのだ。 因みに私は、いつも御飯を半分に減らして貰って、やっと食べられる 量なのだ。 我々の間で彼の名前は“Mr.ダルバート”通称“ダルちゃん”と、 すぐ決まってしまった。 その後ポカラで、彼と再会するのたが、その旺盛な食欲を確認する には、至らなかった。 夜トイレに起きたついでに、屋上に上がって見た。 ダウラギリの見える町_トゥクチェ 石畳の道路の先に、星をバックに岩に雪をまとったダウラギリが、 厳かに鎮座していた。 昼間の風が嘘の様、風が無いのでとても静かな夜だった。 <目次に戻る> Top Page |
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