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旅の空の下で
5.洋上の流星群
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その年、二月程の沖縄の旅も終え、私達は、 那覇から東京への船上に居た。 通常50時間程かかる船旅なのだが、この時は沖縄からの 修学旅行生と一緒の為、長崎を経由した。 時間は3日程要したと思うが、6時間程の停泊時間の間に、 長崎の市内観光も兼て家族で食事に出掛けた。 妻君と、5才の長男、次男はこの旅の途中 1才になっていた。 余談ではあるが私は10代の頃、仕事で(集金旅行) 九州を一週間程訪ねたのだが、 その際長崎にも一日宿泊した。 たしか“ホテル出島”という宿で、まさしく出島の中に あったといっても、当時は堀は埋め立てられていて、 普通の港のホテルであった。 今回はバスで市内迄行ったので、出島は訪ねられなかったが、 現在は堀もきちんと作り、江戸時代を再現している様である。 一頻り、市内を散策し、“皿うどん”や“ちゃんぽん”等食し、 午後舟に戻った。 夕刻、東京へと再度出発した。 修学旅行生の、恩恵はまだあり、 人数の多い学生に二等船室を開放した為、 我々は一等船室へと移されていた。 デンマークから旅して来ているという、20代の女性2人と 同室ではあるが、家族にとっては、個室がありがたかった。 北欧は陽差しが少ないのか、彼女達はよく日光浴をしていた。 私は当時、携帯用のハンモッグという物を持って旅をしていた。 この時は甲板の柱にハンモッグを吊るし夜な夜な 満天の星を眺める事にした。 デンマークの女性達は、私のそばに来て、 「素晴らしい!」「最高!」 等といっている。 陽も落ち、星が見え出して気付いたのだが、 流れ星が、やけに多い。 満天の星になってからは、兎に角星が降り続けているのだ。 (何せ回りは洋上の為、真暗である。 水平線の近く迄、全て星なのだ。) 余程大きな流星群が来ているのか、 それは夜が明ける迄続いた。 常に幾つかの星が流れているのである。 その後、色々な所で、何度も流星群を見たが、 これ程多くの流れ星を見たのは、 後にも先にも体験したことがない。 そして、ハンモッグから見上げる、琉球海運のマストは、 巨大な竜の様で、僕等皆を載せ、 星が流れる銀河、宇宙を、大航海している、 そんな気分に、させてくれた。 今でも忘れられない夜だった。 1985年 秋 <目次に戻る> Top Page |
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